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ユリ科には美しい花を観賞するものが多いが、いずれも地下部分は球根上の鱗茎になっており、オニユリ、ヤマユリ、スカシユリのそれは食用になるので、百合根の名で流通しています。日本では江戸中期から野菜として栽培され、京料理には欠かせない食材です。
百合根は、一片ずつはがしたものを下ゆでして煮物や和え物にすると、ホクホクとした歯ざわりとわずかな苦味のある特有の風味を楽しむことができるが、この3種以外の鱗茎は苦いばかりでなく、食べると下痢をするものもあるので注意しなくてはなりません。
主成分は糖質でほかにタンパク質やビタミンB類、リン、カリウムなどを含むが、漢方でこれを百合といい、鎮咳、利尿、滋養、強壮、鎮静剤として利用してきました。健康野菜としても同様の効果があり、精神的な不安を抑え、イライラを鎮め、更年期の不定愁訴をやわらげるには、百合根にハチミツを加えて軟らかくなるまで蒸したものを食べるとよい。百合根をつぶして出た汁に湯を注いで飲むと、咳や喘息の発作を抑えられるともいわれています。また、食物繊維の一つであるグルコマンナンが豊富なのでコレステロール値や血糖値を抑える作用もあります。